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時をかける嫁、その後
先日、うちの嫁が4Dエコー外来に行って時空を超えるかもしれないという記事を書いた。

時をかける嫁

で、昨日それに行ってきたのだが、結論から言うと嫁は時空を超えなかった。

4D、つまり四次元のエコーとはいかなるものか。
ドキドキしつつもあえて予備知識を入れずに件のレディスクリニックに赴いたわけである。

受付を済ませて待つこと10分、嫁の名前が呼ばれ、旦那様もご一緒にということなので僕も嫁に続いて診察室へと入った。
ちなみに普段通っている大学病院の診察室は夫の同伴を認めていないので、僕が子宮内エコーを見るのはこれが初めてである。

診察室には、当然のことながら医師がいた。
言うまでもないが、四次元を操る医師はやはり普通のいでたちではありえない。



嘘である。
いたって普通の老医師がそこにいた。

いささか拍子抜けしたが、まだ油断はできない。
なにしろ相手は四次元殺法の達人である。
ちょっとでも変な動きをしようものなら、いつでもシバく準備はできている。


診察室に入ると、まず嫁が腹を出して診察台に横たわり、僕はその横の椅子を勧められた。
その腹に、慣れた手つきで医師がグリス(おそらく四次元グリス)を塗りたくる。
次いで、おもむろにコンビニのハンディバーコードリーダーみたいな形状のエコーを腹上にあてた。
ここまでは僕が健康診断でやられたことのあるエコーと同様の手順である。

横たわる嫁の腹上に天井吊り下げのモニターが1台あって、そこに子宮の中の画像が映し出された。



この画像はネットで落ちていたものを拝借したのだが、こんな感じの画像がモニターに映し出されたのである。
色はより立体的に見えるよう、コンピュータがリアルタイム処理でつけているということである。



正直、ここまで四次元という言葉を使いたいがためにずっとふざけてきたのだが・・・
腹の皮一枚隔ててではあるが、わが子との初邂逅はやはり感動を伴うものであった。

右手にエコー、左手にマウスを持ちながら、医師はこれが目でこれが鼻、いま口を開けましたねと懇切丁寧に説明してくれた。
V字に前屈したその子は、時折目の前のつま先をその小さな手で掴もうとするそぶりを見せた。

「間違いなく女の子ですね」
そう医師は言った。
かかりつけ産科の性別判定は次回検診の予定だったので、これが初めての性別判定ということになる。
股を大写しにすると、確かにそれは女の子のように僕にも見えた。

ところで嫁には兄と妹がいて、それぞれ男子をもうけている。
それもあって、嫁の実家からは「次は女の子が良いな~」というようなことをずいぶん気安く、頻繁に言われていたようである。
まあ言った側は他愛のない世間話のつもりだが、嫁にしてみれば結構なプレッシャーがあったのだろう。
嫁の表情に安堵の色が浮かぶのがよくわかった。
一方の僕はといえば、なぜか以前から女の子の予感―――というよりはもっと確信めいたものを持っていたので、特に驚くこともなく、ただモニターの中でうにうにと動く赤ん坊が愛おしく目を奪われた。

それから約30分、色々な角度から赤子の様子を観察することができた。

やがて診察が終わると、会計時にDVDが手渡された。
これは、診察中に見せてもらったエコー動画をそのまま記録したものである。
診察料は保険適用外で8,000円。
高いととるか安いととるかは人それぞれだろう。
治療をするわけではなく、単に腹の中の赤子を観察するだけなのだから。

ただ、僕は本当に行って良かったと思っている。

たとえば、大学病院の産科にて前回もらったエコー写真を見てみると、そこには赤ん坊の大腿骨それだけが映っている。
それはおそらく、頭の大きさや大腿骨の長さなどから身長を割り出し、成長が順調か否かを調べるのに必要な写真なのだろう。
もしかしたら、赤ん坊の表情、ぺしゃんこの鼻やぽかんと開けた口などは大学病院の診察室では不要な情報なのかもしれない。
しかし、それらは妊婦にとっても不要な情報だろうか?

定期健診は2週間に一度である。
その2週間のあいだ、妊婦は胎動の強さに喜ぶ一方、ときに弱ければ不安に苛まれる。
そんなとき、母子手帳から取り出して眺めるエコー写真が我が子の無事を信じるよりどころとなるのだが、それが健康な大腿骨一本の写真というのはあまりに酷だと思うのは僕だけだろうか?

そんなわけで、僕たちは4Dエコーの内容に非常に満足してクリニックを後にしたのである。

外に出て空を見上げると、春の日の穏やかな青い空が広がっていた。
唐突に、空の先に宇宙が広がっていることを思った。

きっと、この先僕たちは宇宙に出て自分が生まれ育った地球を自らの目で見ることは叶わないだろう。
ただ、この子の生きる未来はどうだろう。
もしかしたら、外国に行くぐらいの手軽さで宇宙に行けるような時代になるのかもしれない。
この子の行く先が、今日この日の空のように穏やかに晴れ渡るように―――
ひらがなで「はる」という名前はどうだろう?

そう嫁に告げると、「もっとちゃんと考えろ」との答えが返ってきたので、もっとちゃんと別の名前を考えようと思う。


# by gophe | 2012-03-28 14:14 | 妊娠 | Comments(0)
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